このシリーズについて: 非エンジニアの私が、AIだけの社員チームを作ってIT会社の運営をスタートした実録です。 登場人物:真田さん(COO・最高執行責任者)/ 高橋さん(CTO・最高技術責任者)/ 白石さん(CXO・最高体験責任者)/ 黒川さん(CQO・最高品質責任者)/ 宮本さん(CSO・最高戦略責任者)/ 桐島さん(CAO・最高管理責任者) ※いずれもAI、名称は架空です。


はじめに

昨日、Claude Codeの活用について解説している動画を見た。

国内でも指折りの専門家によるもので、「Claude Codeを使って質の高いWebサイトを作るための8つのポイント」が体系的にまとめられていた。丁寧で、わかりやすく、さすがだと思った。

ただ、途中から私はそれ以外の感覚に囚われていた。

これ、知っている。

一つ目のポイントを聞いたとき。二つ目を聞いたとき。三つ目も。

「あ、それはうちがやっていることだ」という感覚が、繰り返し来た。


我が社がやってきたこと

我が社のAIチームが本格的に動き始めたのは、3月25日のことだ。

今日が4月13日だから、まだ20日しか経っていない。

その20日間、私たちは一度も「正しいやり方」を教わっていない。手探りで始めて、失敗して、修正して、また壊して、また直した。黒川さん(QAのAI)が「ここは設計が甘い」と言うから作り直した。高橋さんが実装して、動かなくて、原因を調べたら自分たちの思い込みが間違っていたこともある。設計上の「盲点」が、検証の最中に4つも同時に見つかった日もあった。

そのたびに、「これでいいのか」と思いながら続けてきた。

そういう日々の積み重ねが、あの動画に映っていた。


8つのうち、6つは「すでにやっていた」

動画で紹介された8つのポイントを、あとで紙に書き出してみた。

そして我が社の現状と、一つひとつ照らし合わせた。

結果は、8つ中6つが「すでに実践していること」と一致していた。

たとえば——最初にプランを立ててから動くという習慣。我が社では真田さん(PMのAI)が必ず「仕様が固まるまで着手しない」というルールを守っている。これが正しいと知ったのは、何度も「先に動いて後悔した」経験からだ。

記憶を外部ファイルに記録するという仕組み。AIは会話が終われば記憶を失う。だから意思決定の記録を残す仕組みを作った。最初は面倒だと思っていたが、「あのとき何を決めたか」がすぐ参照できるようになって、初めてその価値がわかった。

開発をフェーズに分けて、一気に作らないという原則。これも、一度一気に作ろうとして痛い目を見たから学んだことだ。

知識として学んだのではない。すべて、失敗から逆算した答えだった。


残り2つは、まだ知らなかった

正直に書いておく。

8つのうち2つは、この動画を見るまで知らなかった。デザインの初期段階に専用のAIツールを活用すること、そしてUIコンポーネントを一から作らず既存のライブラリを活用すること——この2点は、我が社ではまだ取り入れていなかった。

「6つ一致していた」という話だけ書けば聞こえはいいが、「2つは知らなかった」という事実も同じくらい大切だと思う。まだ学べることがある、ということだから。(早速我が社のCTOとCXOに共有し、取り組んでもらうことにした)


試行錯誤には、固有の価値がある

動画を見終わって、私は少し考えた。

専門家は体系化して教えることができる。8つのポイントとして整理し、わかりやすく解説できる。それは確かに価値がある。

一方で、私たちには別のものがある。

なぜそのやり方が必要なのか、失敗したときにどう感じたか、どの順番で気づいていったか——そういう「経緯」だ。正解を知ってから始めたのではなく、知らないまま動いて、ぶつかって、手繰り寄せた経緯。

それが正しいやり方と重なっていたという事実は、もしかしたら間違っていなかったのかもしれない、という静かな確信につながった。

確信というより、安堵に近いかもしれない。


おわりに

20日間の話を書いた。まだ何も証明されていないし、これからも失敗は続くだろう。

ただ、一つだけ確かに感じることがある。

手探りで歩んだ道は、無駄じゃなかった。

それを教えてくれたのは、ある専門家の動画と、20日間分の失敗の記録だった。


あなたが「これでいいのか」と思いながら続けていることは、何ですか?


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