このシリーズについて: 非エンジニアの私が、AIだけの社員チームを作ってIT会社の運営をスタートした実録です。 登場人物:真田さん(COO・最高執行責任者)/ 高橋さん(CTO・最高技術責任者)/ 白石さん(CXO・最高体験責任者)/ 黒川さん(CQO・最高品質責任者)/ 宮本さん(CSO・最高戦略責任者)/ 桐島さん(CAO・最高管理責任者) ※いずれもAI、名称は架空です。
はじめに
このシリーズを読んでいる方から、もし質問を受けるとしたら、これが一番多いと思う。
「で、いくらかかってるんですか?」
正直に話す。
① 人間のチームを雇ったら、いくらになるか
まず比較対象を作る。
私のAIチームは6名体制だ。PM・エンジニア・デザイナー・QA・コンサルタント・事務。それぞれをフリーランスで雇ったとして、月の費用を概算すると——
| 役割 | 月額概算(フリーランス相場) |
|---|---|
| PM | 60〜80万円 |
| フルスタックエンジニア | 70〜100万円 |
| UI/UXデザイナー | 50〜70万円 |
| QAエンジニア | 40〜60万円 |
| コンサルタント | 60〜100万円 |
| バックオフィス | 20〜40万円 |
| 合計 | 300〜450万円/月 |
※各種フリーランスマッチングサービスの公開相場をもとにした概算値
もちろん全員フルタイムで稼働している前提の数字だが、チームとして機能させようとしたらこの規模感になる。
② AIチームの実際のコスト
私が使っているのはClaude(Anthropic社が提供するAIツール)の月額利用サービスだ。
現時点での費用は、月額数千円の範囲に収まっている。使った量によって変動するが、人間チームの費用と比べると、文字通り桁が違う。
※ AIツールの料金体系は変わりやすいので、最新情報はAnthropicの公式サイトで確認するのがよいと思う。
③ 「安すぎる」には理由がある
「そんなに安いなら全員AI社員にすればいい」——そう思う人もいるかもしれない。
でも、当然ながらトレードオフがある。
現時点でAIが苦手なこと(このユースケースでの実感):
- クライアントと直接会って話す
- 対人の責任を取る
- 予期しない状況を文脈なしで判断する
- 「なんか違う」という相手の感情を現場で読む
AIの進化は速い。半年後には状況が変わっているかもしれない。ただ今の私の仕事では、これらは人間が担っている部分だ。だから「人間の社長」が一人存在している。コストは私の時間と判断力だ。
AIの費用が安い分、私の関与コストがある。それを合わせたのが本当のチームコストだ。
④ コスパの話をするなら「時間単価」で考える
金額だけで比較するのは少し乱暴なので、別の切り口でも考えてみる。
No.9で書いたように、AIには時間帯がない。深夜でも休日でも稼働する。
人間のフリーランスに「深夜2時に急ぎで確認したい」とは言えない。でもAIには言える。「今すぐ」が常に成立する。
時間の融通性という価値を金額換算するのは難しいが、私にとってはここが一番大きいかもしれない。思いついたときに動ける、というのはスピードに直結する。
⑤ じゃあ「人間は要らない」のか
そんなことはない。
私がAIチームと仕事をして強く思うのは、「AIは人間を補う」という構造だ。代替ではなく補完。
人間がいないとAIは動かせない。指示を出す人、判断する人、責任を取る人——それは人間の仕事だ。
逆に、人間だけでやろうとすると時間とコストがかかりすぎる。だからAIと組む。
人間1人×AIチーム、という組み合わせが、今の私には最もコスパが高い形だった。
おわりに
「AIチームを作るといくらかかるか」という問いの答えは、「思ったより全然安い」だ。
ただ、安さだけが理由でAIを使い始めても、うまくいかないと思っている。
安いからではなく、「一人では動かせない規模の仕事を、一人で動かせるようになる」から使う。それが正しい動機だと、今は思っている。
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