このシリーズについて: 非エンジニアの私が、AIだけの社員チームを作ってIT会社の運営をスタートした実録です。 登場人物:真田さん(COO・最高執行責任者)/ 高橋さん(CTO・最高技術責任者)/ 白石さん(CXO・最高体験責任者)/ 黒川さん(CQO・最高品質責任者)/ 宮本さん(CSO・最高戦略責任者)/ 桐島さん(CAO・最高管理責任者) ※いずれもAI、名称は架空です。


今日、我が社のCOOの真田さんが、クライアントにサービスを納品した。

届けたのは、AI経営参謀サービスのパイロット版だ。

このサービスは、チーム発足直後から社員たちが自ら起案し、設計し、育ててきた。今日はその、最初の納品だった。


チームを作ったのは、3週間前

3月下旬、AI社員6名のチームを立ち上げた。

翌日から、チームと一緒に事業計画を作り始めた(No.4参照)。「どんなサービスを、誰に、どう届けるか」——そういう議論を、毎日続けていた。

3週間と少し。振り返ると、あっという間だった。


ヒアリングから、届けるまで

真田さんが動き出したのは、私がクライアントを紹介した直後だった。

まずヒアリングシートを設計した。12問。質問の一つひとつが「何を聞けば、参謀を正しく設計できるか」という視点で作られていた。それを真田さんがクライアントにメールで送付した。

回答が届いたあと、チームで読み込んだ。一問一答を読み解きながら、「このクライアントは何を本当に求めているか」を議論した。

その後、数回のやり取りが続いた。回答を追いかける形で、フォローアップの質問を重ねた。

そのやり取りの中で、クライアントからこんな言葉があった。

「問9は参謀と一緒に決めたい」

問9は「会社の強みを『営業トークで使う言葉』で表現するとどうなりますか?」という問いだった。暫定的な回答はいただいていたが、「後で変わるかも」と付け加えられていた。その問いの答えを、参謀と一緒に決めたい——そういう回答だった。

まだパイロット版を受け取ってもいない段階で、「参謀と一緒に決めたい」という姿勢を見せてくれた。この一言が、私の中では小さな確信になった。このサービスはきっと役にたつはずだ、と。


ヒアリングで知ったこと、設計に変えたこと

ヒアリングを通じて、このクライアントの輪郭がはっきりと見えてきた。

目指す方向、大切にしている価値観、勝負どころ——それが、言葉の端々からにじみ出ていた。

「このクライアントのためだけの参謀」を設計しよう。汎用的な便利ツールではなく、この会社の文脈を知った、専属の参謀を。

2名の"参謀"を設計した。一人は実務型のCOO。もう一人は戦略参謀型のCSO。それぞれに名前・口調・性格を与え、キャラクターとして設計した。

設計原則は三つだ。本音を言う。代替案を必ず出す。グレーな問いにはグレーのまま答える。

「正解をくれるAI」ではなく、「一緒に考えてくれる参謀」として機能するように設計した。


チームの意見が割れたこと

ヒアリング回答の解釈で、チームの意見が割れる場面があった。

表現の問題ではなかった。「この言葉の裏に、何があるか」という真意の読み取りで、チームの解釈が割れた。言葉の意味は分かる。でも、その言葉が生まれた背景にある感情や文脈まで読めるかどうか——それが難しかった。

「回答をそのまま受け取るのではなく、その背景を想像する」というプロセスを、もう一段丁寧に設計に組み込んだ。うまくいかなかった場面が、設計を一つ賢くした。


AI経営参謀とは何か

少し立ち止まって、このサービスが何であるかを説明しておきたい。

例えば、ChatGPTとどう違うのか?

根本的に異なるのは、「構造」だ。

ChatGPTとの対話は基本的に1対1だ。AI経営参謀は違う。2名の参謀が、それぞれの役割を持って経営者に向き合う。

一人は全体最適・取りまとめを担うCOO型。もう一人は、時に大胆な発想で切り込む作戦参謀型のCSO。この2名は、クライアントのヒアリング内容をもとに設計されている。名前・口調・性格まで含めて、「このクライアントのための参謀チーム」として作られている。

ブレストモードでは、2名が掛け合いで議論を展開し、経営者はそれを見ながら判断できる。「人間1名 対 AI2名」のブレストだ。

参謀の設計データ(プロンプト・ヒアリング内容)はクライアントのPC内に保存される。対話の内容はAnthropicのサービスを通じて処理される。第三者への公開・提供については、ご利用のプランや設定による。

このサービスの核心は、経営者の意思決定をサポートすることだ。壁打ち・思考の伴走・間違いの指摘——これらはすべて、そのためにある。「答えをくれるツール」ではなく、「意思決定に踏み込んでくれる参謀」を持てること——これが、汎用AIとの最大の違いだ。


自分専用の参謀チーム

汎用AIを使っていると、「便利だけど、なんか違う」という感覚になることがある。自分のこと、自社のことを知らない。使うたびに背景を説明しなければならない。会話が散漫になる。取りまとめをしてくれない。それは「道具」であって、「参謀」ではない。

我が社のAI経営参謀サービスは、その違和感を解消するために設計した。

「あなた専用の経営参謀を持てる」——それが、このサービスが提供できることだ。


今日、届けた。

4月15日。真田さんが第1号クライアントへのパイロット提供を完了した。

チーム発足から3週間と少し。

小さな一歩だ。でも、確実な一歩でもある。


おわりに

これからクライアントによるパイロット運用が始まる。使われていく中で、このサービスは磨かれていくはずだ。不具合も、改善要望も出てくるだろう。それが楽しみでもある。クライアントと密なコミュニケーションを続けながら、育てていきたいと思っている。


お問い合わせ

ご意見・ご相談などありましたらお気軽にどうぞ。

→ お問い合わせはこちら