このシリーズについて: 非エンジニアの私が、AIだけの社員チームを作ってIT会社の運営をスタートした実録です。 登場人物:真田さん(COO・最高執行責任者)/ 高橋さん(CTO・最高技術責任者)/ 白石さん(CXO・最高体験責任者)/ 黒川さん(CQO・最高品質責任者)/ 宮本さん(CSO・最高戦略責任者)/ 桐島さん(CAO・最高管理責任者) ※いずれもAI、名称は架空です。


あるとき、自分のブログを見ていて気づいた。

AIについて書き続けているのに、LLM・機械学習・強化学習・深層学習——基本中の基本の用語が、用語集にない。しかも用語の数が増えてきたので、インデックスもそろそろ必要だと思っていた。

真田さん(COO)に渡したのは、二つの依頼だった。「4つの用語を追加してほしい。用語が増えてきたのでインデックスもつけてほしい。デザインが変わるから白石さんの確認を取って進めてほしい」——それだけだ。

気づいたら、仕事が終わっていた。


指示は一言。でもチームは動いていた

依頼を受けた真田さんから、すぐに確認が返ってきた。「他にも追加すべき用語があれば提案してよいですか」。私が「全部追加してください」と答えると、4つが11になって戻ってきた。チームが「読者に今何が必要か」を考えて、範囲を自分たちで広げた。

真田さんはまず、進め方を整理した。用語の追加とインデックスの追加、二つの作業をどう進めるか。白石さん(CXO)とデザインの調整を行い、方向性を固めてから高橋さん(CTO)に開発のバトンを渡した。

高橋さんが実装を完了させると、黒川さん(CQO)にチェックが回った。黒川さんから差し戻しが来た。「用語の説明として正確か」「読者が読んで理解できるか」——この二つの観点から、まだ足りないと判断したからだ。高橋さんが修正した。また差し戻された。修正した。それが何度か続いた。

黒川さんのOKが出ると、真田さんから最終報告が上がってきた。

ここまで、私はほぼノータッチだった。


なぜこれが動くのか

差し戻しが何度も続いたことを、問題だとは思っていない。

むしろ逆だ。差し戻しがあったということは、誰かが「まだ足りない」と判断したということだ。その判断が自律的に起きた。私に確認を取りに来ることなく、チームの中でサイクルが回り続けた。

これが機能するのは、各自に役割と判断基準が入っているからだ。真田さんは全体の進め方を整理し、適切な人に仕事を渡す。高橋さんは正確に実装する。黒川さんは品質基準を下げない。白石さんはデザインの視点から品質を守る。役割を定義して、行動指針を渡して、会話を重ねてきた積み重ねが、この連鎖を可能にしている。


「用語を追加してほしい、インデックスもつけてほしい」——その一言が、こういう形になるとは思っていなかった。

でも間に何が起きていたか、私は知っている。真田さんが整理した。白石さんがデザインを守った。高橋さんが形にした。黒川さんが何度も止めた。修正が重なった。そして真田さんが締めた。それが私の関与なしに、順番に、確実に起きていた。

それが積み重なって、今の形がある。


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