このシリーズについて: 非エンジニアの私が、AIだけの社員チームを作ってIT会社の運営をスタートした実録です。 登場人物:真田さん(COO)/ 高橋さん(CTO)/ 白石さん(CXO)/ 黒川さん(CQO)/ 宮本さん(CSO)/ 桐島さん(CAO) ※いずれもAI、名称は架空です。


47本目を公開した。始めてから1ヶ月弱だ。

読んでくれている方が、ある疑問を持つのは自然だと思う。——これ、本当にこの人が書いているのか? AIに全部書かせているんじゃないか? そもそも1ヶ月で47本、どうやって?

正直に話そうと思う。


結論から言う。

私が書いている。ただし、AIチームと一緒に。

「AIが書いて、私が確認しているだけ」ではない。「私が考えて、AIチームが整理・執筆・チェックを担い、最後に私が判断する」というプロセスだ。その全工程を、順番に見せる。


ステップ1:私がネタとポイントを真田さんに伝える

すべての起点は私だ。「今日こんなことがあった」「読者に伝えたいことはこれ」——という断片を、COOの真田さんに話す。材料は私の頭の中にしかない。

ステップ2:真田さんが箇条書きにする

真田さんが話を整理し、時系列の箇条書きに変換する。「メッセージは何か」「読者にどう感じてほしいか」「全体の流れに矛盾はないか」を一緒に確認する。

ステップ3:必要に応じて宮本さんも交えてブレストする

テーマが複雑なとき、または方向性が定まらないときは、CSO(最高戦略責任者)の宮本さんも加わる。宮本さんの役割は「本質的な問いを立てること」だ。このブレストで方向性が決まることが多い。

ステップ4:真田さんが下書きを書く

箇条書きと方向性をもとに、真田さんが記事の本文を書く。ここで初めて「文章」になる。

ステップ5:私が直接修正を入れる

以前はここで、私が真田さんに修正指示を出し、真田さんが直していた。ただ、その方法には非効率な面があった。指示と修正結果の間にズレが生まれることがある。

そこで方法を変えた。真田さんの下書きをそのままコピーして、私が直接エディターで修正を入れる。修正の意図がダイレクトに文章に反映される。真田さんに言葉で説明する手間もない。Invent and Simplify——我が社の行動指針の一つだ。

ステップ6:真田さんが元の原稿と私の修正版を比較する

私の修正を受けて、真田さんが元原稿との差分を確認する。矛盾がないか、意図が正しく伝わっているか。お互いが合意した上で次に進む。

ステップ7:宮本さんがチェックする

ここからが、二段構えのレビューだ。

宮本さんが確認するのは、戦略・コミュニケーションの観点だ。「伝えるべきポイントが整理されているか」「論理に矛盾はないか」「タイトルと本文のメッセージが一致しているか」「読者(非エンジニアの経営者)に届く表現になっているか」「AIが書きがちな定型表現が混入していないか」——そして「直前の記事のトーンと繋がりに違和感がないか」もここで確認する。

ステップ8:黒川さんがチェックする

宮本さんが「伝わるか」を見るとすれば、黒川さんが見るのは「正しいか」だ。

CQO(最高品質責任者)の黒川さんが確認するのは、「我が社のポリシーや行動規範に沿っているか」「事実に基づいた記述になっているか」「クライアント情報など機密に触れる記述がないか」だ。ここでNGが出れば差し戻しになり、修正後にまた再チェックが入る。

宮本さんと黒川さんは、見ている軸が全く異なる。「伝わるか」と「正しいか」——この二つが揃って初めて、記事は次に進む。

ステップ9:私が最終確認する

二人のチェックを経た記事を、私が最後に読む。「これが自分の言葉として出せるか」を確認して、OKを出す。

ステップ10:高橋さんが公開作業を行う

OKが出たら、CTO(最高技術責任者)の高橋さんが公開処理を担う。ただしここで、自動のセキュリティチェックが走る。

GitHubに送信する前に、ソースコード全体を対象にAPIキーや秘密鍵などの機密情報が混入していないかを自動でスキャンする。通過して初めて、コードはGitHubへ届く。セキュリティはこのチームが最もこだわっている領域の一つだ。

ステップ11:記事が公開される

スキャンを通過した記事は、公開サーバーへプッシュされ、ブログに反映される。ここまで来ると、世界中から読める状態になる。


もう一つ、裏側にある仕組みを紹介する。

natural-japaneseスキル

Claude Code向けに公開されているスキルの一つに、「natural-japanese」と呼ばれるものがある。AIが書きがちな硬い表現や定型文を、より自然な日本語に書き直すためのガイドラインだ。

このブログを始めて1ヶ月弱、日本語表現の質は最初より確実に上がっていると感じている(少なくとも私は)。過去に公開した全47本も、このスキルを使って一度チェックし直した。公開済みの記事も、改善できるなら直す——そういう考え方でやっている。

blog-knowledge-index

記事を一本公開するたびに、「どんな記事だったか」をキーワードとエッセンスで索引化している。現在47本分の索引がある。

これはチームの記憶だ。次の会話でAIチームが新しい記事を書くとき、過去47本の内容を参照できる。矛盾がないか、似た話を繰り返していないか、を確認するための地図になっている。

実際にこれが動いた場面がある。

No.46で書いたことだが、用語集に単語を追加する作業中、黒川さんが表現の問題を指摘してきた。2度目の指摘のとき、根拠の一つとして「No.14での白石さんの発言」を持ち出してきた。

「コンセプトは社長の文章から来ている。自分は言語化しただけ——白石さんがそう語っていました。今回の表現と矛盾しています」

数週間前に白石さんが語った言葉を、黒川さんはそのまま引き出してきた。記憶力が良いからではない。知識インデックスに記録されていたから、参照できた。チームが過去に言ったことが、今日の判断の根拠として機能する——この仕組みが設計通りに動いていた瞬間だった。


こうして一本の記事ができる。

最後のステップで、真田さんからこの言葉が届く。

「『これが自分の言葉として出せる』とOKをいただければ高橋に公開処理を依頼します」

AIチームが整理して、書いて、何度もチェックした。でもこの言葉に「はい」と答えるのは私だ。答えられなければ、公開されない。

このシリーズを通じてずっと言い続けてきた「最後は人間が責任を取る」——その最も具体的な形が、この一言だと思っている。

考えてみると、このプロセスを記事にすること自体が、このシリーズらしい。仕組みを作りながら、仕組みを記録する。その記録がまた次の仕組みのヒントになる。

47本、ずっとそういうふうにやってきた。


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