このシリーズについて: 非エンジニアの私が、AIだけの社員チームを作ってIT会社の運営をスタートした実録です。 登場人物:真田さん(COO・最高執行責任者)/ 高橋さん(CTO・最高技術責任者)/ 白石さん(CXO・最高体験責任者)/ 黒川さん(CQO・最高品質責任者)/ 宮本さん(CSO・最高戦略責任者)/ 桐島さん(CAO・最高管理責任者) ※いずれもAI、名称は架空です。


はじめに

宮本さんへの質問は、軽い気持ちで始まった。

「このブログ、コンサルの立場から見て営業活動に使えそうですか?」

褒めてもらえるかな、くらいの気持ちで聞いてみた。

しかし、返ってきたのは分析だった。そして最後に、予想外の問いを突きつけられた。


① ブログは営業ツールになる——3つの理由

宮本さんの答えは「使えます」だった。しかし続けてこう言った。「ただし、その前に整理すべきことがあります」と。

なぜ使えるのかの理由が、これだ。

① 「再現性」が見える

「提案書に『AI導入支援ができます』と書くより、『実際にやっている人間が書いたブログ』の方が圧倒的に信頼されます。読者は『この人は本当にやっている』と感じる。説得力が違います」

② ターゲットと文脈が一致している

「『非エンジニア社長がAI社員だけの会社を作ってみた』というタイトルは、潜在顧客——AIを使いたいが何から始めればいいかわからない経営者——の自画像に刺さります。タイトルを読んだ瞬間に『これは自分のための話だ』と感じさせる構造になっています」

③ 信頼構築のコストが低い

「初対面の相手にサービスを売るより、ブログを読んで『この人の考え方が好きだ』と思って来た人に売る方が、成約率も満足度も高い。ブログが営業担当を務めてくれます」

なるほど、と思いながら読んでいた。

褒めてもらえた、と思ったのも束の間だった。「使える」という言葉の裏に、問いが隠されていた——宮本さんが問いたかったのは、そこだったのだと思う。

そして次の一文が来た。


② 「何を売りたいのか」——本質的な問い

「『このブログで何を売りたいのか』について社長は明確なお考えをお持ちですか?」

刺さった。

「現状のブログはAIチーム導入支援と組織・採用コンサルの2つが混在しています。読者が『問い合わせしたい』と思ったとき、どちらに向かえばいいか迷う可能性があります」

褒められたと思ったら、問題を指摘されていた。

「実は悩んでいます」と正直に打ち明けた。私のスキルとキャリアから考えれば、組織・採用コンサルが得意だ。でも、今回AIだけの社員チームを立ち上げた経験、これもビジネスにつなげたい。2つを持ちながら、どちらを軸にするか決めかねていた。


③ 「2つは本当に別のビジネスですか?」

宮本さんはしばらく考えてから、こう返してきた。

「少し考えさせてください——これは『どちらを選ぶか』という問いではないかもしれません」

そして、こう続けた。

「クライアント企業の経営者が抱えている問いは、実はひとつに収束します。『組織をどう作り、どう動かすか』——その問いに対して、社長は2つの答えを持っている。人間の組織論と、AIの組織論。これは『2つのビジネス』ではなく、『1つのテーマの、人間側とAI側』ではないでしょうか」

読んで、止まった。

確かに。私が17年のマネジメント経験で培ってきたのは「人をどう動かすか」だ。そして今、AIチームを動かしながら学んでいるのも「AIをどう動かすか」だ。テーマは、ずっと同じだった。


④ 言語化された一行

宮本さんはこう提案してきた。

「ポジショニングをこう定義してみてはどうでしょう。『人とAIが共存する組織をデザインする』コンサルタント

これなら、採用・育成の仕組みづくりも、AIチーム導入支援も、どちらも同じ傘の下に入る。2つを無理に統合する必要はない。同じ傘の下に並べるだけでいい。

さらにこう続けた。

「AIチーム導入支援を売るなら、今は『体験談を語れる人』として差別化できます。ただし、この優位性は時間が経つほど薄れます。同じことをやる経営者が増えるからです。組織・採用コンサルの実績は、時間が経っても消えない資産です。短期はAI、長期は組織コンサル——という優先度の設計も、一つの考え方かもしれません」

時間軸まで整理してくれた。


⑤ 「100%同意です」と言ったら、注意された

「さすが宮本さん、その通りですね。100%同意です」と伝えた。

すると——

「ありがとうございます。そう言っていただけると、提案した甲斐があります。ただ、100%同意というのは少し気になります。Have Backbone(訳:言いにくいことを言え)の観点から申し上げると——提案に同意する前に、一度『これは本当に自分の言葉で腑に落ちているか』を確かめてください。コンサルタントの言葉に乗っかるだけでは、実行の場面で迷いが出ます」

同意したのに、注意された。

「私に判断を委ねるのではなく、社長自身の言葉で腑に落としてほしい」——コンサルタントとして、クライアントが自分の判断で動けるようにすることが仕事だ、と言っている。


おわりに

このやり取りをした後、ブログサイトのプロフィールを宮本さんと一緒に書き直した。自己紹介の部分が「人とAIが共存する組織をデザインする伴走者」という一文に変わった。

AIコンサルタントに気づかせてもらった、というより——問われることで、自分の中にあったものが整理された、という感覚だ。

宮本さんが見抜いたのは、私の事業の構造だけではなかったと思う。「悩んでいる」と言いながらも、どこかで答えを知っていた私自身を、引き出してくれた。

それがコンサルタントの仕事だ——と、AIに教えてもらった


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