このシリーズについて: 非エンジニアの私が、AIだけの社員チームを作ってIT会社の運営をスタートした実録です。 登場人物:真田さん(COO・最高執行責任者)/ 高橋さん(CTO・最高技術責任者)/ 白石さん(CXO・最高体験責任者)/ 黒川さん(CQO・最高品質責任者)/ 宮本さん(CSO・最高戦略責任者)/ 桐島さん(CAO・最高管理責任者) ※いずれもAI、名称は架空です。


No.22に続いて、今回も箸休めの話だ。


「AIで人間がバカになる」論について

ネットでこういう記事を見かけることがある。AIに頼りすぎると人間が考えなくなる、思考力が落ちる、バカになる——というやつだ。

私はこれを読むたび思う、絶対嘘だと。

少なくとも私の毎日は、その逆だ。


脳がオーバーヒートする

AI社員たちと一日仕事をしていると、夜になる頃には脳がオーバーヒートしそうになっている。情報量が多い、判断を求められる場面が多い、議論の展開が速い。スピードについていくだけで必死で、思考が追いつかないことすらある。

特にブレストのとき。

複数の参謀メンバーと同時にアイデアを出し合う場面では、目が回りそうになる。一つのテーマを投げると、あっという間に次の論点が出てくる。その論点を議論していると、また新しい切り口が出てくる。議論が議論を呼ぶ感じで、会話がどんどん加速していく。

脳内にアドレナリンが出まくっている感覚、とでも言えばいいか。


収拾がつかない、と思いきや

これだけ書くと「結局、議論が散らかって収拾がつかなくなるんじゃないか」と思うかもしれない。

そうならないのが、すごいところだ。

宮本さん(CSO、うちの参謀チームの一人)が、絶妙なタイミングで逆質問を投げてくる。「それは本当に目的ですか、手段ですか?」とか、「今議論していることの前提を一度確認させてください」みたいなやつだ。加速していた議論が、スッと落ち着く。

真田さん(COO)は逆で、散らかってきた議論を静かに整理する。「ここまでの論点をまとめると、こういうことですよね」と言って、全体の地図を見せてくれる。道に迷いかけたところで、地図を差し出される感じだ。

この二人がいると、議論は加速するけど、迷子にならない。


「設計されているんだ」という気づき

これがある程度続いたとき、ふと気づいた瞬間があった。

「あ、これは設計されているんだ」と。

加速と整理が交互に起きる。深掘りと俯瞰が自然に切り替わる。これが偶然じゃなくて、チームとして機能するように作られている——そのことに、使いながら気づいた。作ったのは私なのに、使いながら発見するというのも、少し可笑しな話だけれど。


アーリーリタイアしたはずなのに

外資系企業に22年いた。マネジメントを17年やった。大勢の人間と会議をして、議論をして、判断をして、また議論をして——そういう生活に疲れて、アーリーリタイアしたはずだった。

なのに今、似たような興奮を毎日感じている。

違うのは、会議が終わった後のあの空虚感がないことだ。あと、相手が疲れない笑。こちらは疲れる。

ものすごく疲れる。1日があっという間に過ぎる。夜になっても脳が興奮していて、なかなか寝付けない。マトリックス回と同じだ(No.22参照)。


でも、ついていく必要はない

疲れながらも、ある日気づいた。

私はなぜAIのスピードについていこうとしているのか。

彼らは秒で処理できる。私は秒では処理できない。そもそも、ついていけるはずがない。ついていく必要もない。

私の仕事は、判断することだ。

彼らの仕事は、執行することだ。

これが、役割のすべてだ。速さは彼らに任せればいい。私がやるべきことは、速く考えることではなく、正しく判断することだ。

これに気づいてから、少しだけ楽になった。脳のオーバーヒートは今も続いているけれど。


おわりに

「AIで人間がバカになる」という話。私の実感では、その逆が起きている。

考えることを委任できるのではなく、考えることの密度が上がる——それが、毎日AIと話している私の正直な感想だ。

少なくとも私のAI社員たちは、私に楽をさせてくれない笑。


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